上社の御柱は皮を里曳き直前に剥ぐので、建て御柱からしばらくの間は恥ずかしいほどの白い肌をしています。前宮は高台にあるため、「こんな所から見える」としばらくの間は格好の話題を提供してくれます。これが一夏の洗礼を受けると褪せ始め、山懐の緑塊に埋もれて目に入りにくくなります。
「茅野大橋」からは、運転しながらでも確認できていました。車でしか通ることのない橋ですが、茅野市側からは橋の頂点まで歩道があるのでお盆休みを利用して写真を撮りに行きました。
自動車専用道路ではありませんがこのバイパス道を歩く人はいません。立体交差で盛り上がったコンクリートで固められた橋道は生活道路とかけ離れ、カメラを手にしていないとここにいる理由が分からないほどです。
写真では分かりにくいのでキャプションを入れました。写真下部の木々を透かした明るい部分が中央自動車道の高架です。背高のバスなら、前宮の場所さえ知っていれば確認できるでしょう。
撮影場所を変えながら移動すると、甘い匂いが風に乗ってきました。一嗅ぎで「葛の花」と分かりました。下をのぞくと河原一面にはびこった葛の葉だけが見えます。通常は当たり前すぎて目に入りませんが、花時は匂いでその存在が分かります。しかし、改めて花を見ることはありません。いつも通り過ぎてから「アッ、葛だ」と瞬間の盛夏を感じるだけです。御柱紹介ページですが、橋と葛の文となってしまいました。