御柱見聞録 /

御柱抽籤総代 その栄光と挫折 −期待の重圧にあえぐ−

※ このサイトでは、正式名称の「抽」で表記しています。

御柱抽籤式(おんばしらちゅうせんしき)

 格・サイズとも一番上が「本宮一之御柱」で、略して「本一(ほんいち)」と呼びます。その最も大きな御柱を曳くことを氏子の誰もが望みます。しかし、担当する柱は抽籤で決まりますから、「買えるものなら、3千万円出してもいい」という話も飛び出します。連続して大物が当たる地区があろうものなら、「不正がある」との噂もささやかれます。諏訪大社や大総代会などの関係者は「絶対あり得ない」と否定しますが、巷では「ある」と断言する声もかなり聞かれます。

 平成10年の御柱抽籤式では、「宮川・ちの」地区が本一を引き当てました。調べると、この地区は過去百年で8回も本一を獲得しています。この間に行われた御柱祭は16回ですから、2回に1回は最大柱を獲得していることになります。
 二番手はグッと下がった3回で、未だに触ったこともない地区も二つあることから、「やはり何かがある」の声も…。

 大きな御柱を希(こいねが)う一方で、「できれば小さな柱が」と願う地区もあります。区民の数が大幅に少ないためで、「地区に余る」柱が当たると曳き子の確保に頭を悩ませます。人足不足で川越しができず、トラクターの曳行で橋を渡ったケースもあったといいます。

 明治以降の「担当御柱一覧表」で確認すると、このような地区に大物が当たる確率は極端に低い(小さな御柱が当たる確率がかなり高い)のがわかります。こちらも「何かある…」でしょうか。

 このような“根や葉”がありますから、抽籤式のTV中継では、アップで映る神職を含む役員の一挙一動に、「あれが合図だ」と、輪番制で抽選がない下社の氏子も巻き込んで噂に話に花が咲きます。

 最大柱を当てた抽籤総代は一躍地区のヒーローとなり、氏子総出の祝福を受けるそうです。その永久に語り継がれる栄誉を受けた総代の陰に、一番格下の「前四(前宮四之御柱)」を当てた総代がいたのも事実です。かつては、石を投げられるなどの嫌がらせを受けて、一時他所へ避難した話も伝えられています。

御柱抽籤総代

 籤を引くのは地区の抽籤総代ですが、多くは大総代が兼任します。専門職の抽籤総代を立てる地区では、籤運(くじうん)の強い人を選びます。その代表的な選出方法が総当たりの「ジャンケン」で、最後に勝ち残った人が抽籤総代になります。この時ばかりは誰もが早く負けることを望むようですが、“運悪く”連戦連勝してしまう人が…。
 抽籤総代は、「前宮」より「本宮」、それも「一」が当たるように、区民の期待を一身に担います。そのプレッシャーは大変なもので、当日まで禊(みそぎ)をして身辺を清め、パチンコや酒・タバコなど好きなものを断つそうです。また、毎日家族を巻き込んで神棚と“仏壇”に手を合わせ、さらに近くの氏神社や諏訪大社に出向き祈願をします。

 (ジャンケンの結果)その役を受け(させられ)た抽籤総代が、抽籤式に臨むまでの特集番組を見ました。抽籤式の生中継では、その彼が二番目の大きさである前一を引いた瞬間、厳かな幣拝殿にも関わらず、思わず喜びとも安堵とも取れる相好を崩した顔が映りました。
 テレビの中ながら顔や人柄をよく覚えていましたから、喜びを率直に爆発させた姿に、思わずウンウンとうなずいてしまいました。
 他の総代は顔の表情や体の仕種にわずかな起伏が見られるだけでしたが、結果はともかく、これで抽籤総代の全員が重圧から解放されたことになりました。

御柱抽籤式に“不正”はあるのか…「談合の具体例」

 以下(↓)のリンクでご覧ください。

『御柱抽籤式の“談合”』