柱見聞録 /

御柱祭で一番稼いだのは −熱い御柱商戦−

 御柱祭の「山出し」は入学式とも重なり、カメラ店では便乗セールと記念写真の撮影に力を入れます。本も神社関係や祭りの解説・ガイドが数多く出版され、店頭に山積みになります(実は私も『諏訪大社の御柱』なる本を買ってしまいました)。ポスターやシール、絵はがき・木遣りのCD・御柱ビデオの予約なども新聞や折り込み広告で目に付きます。
 親類縁者を呼ぶ家では、家の補修や畳替え、什器の補充・寝具の整備なども欠かせず、7年に一度の出費に頭を悩ませます。
 波及効果は東京にも及びます。御柱に乗る目立ちたがり屋仲間は、一式30万円ともいわれる衣装を専門店に特注します。今年は虎年に当たるので、虎の刺繍の入ったハッピが人気だそうです。また、定番のキーホルダーやお土産グッズの売り上げはどのようなものになるのでしょう。

 「諏訪市の県酒類販売諏訪支店では、4月の清酒の売上高が前年同期比で約8割増、ビールは2倍と大幅に伸びた。このうち清酒は一升瓶換算で約1万本、ビールも大瓶換算で約10万本が祭りで消費されたとみる」と、新聞に載っていました。「御柱記念ラベル」も各社が競って出し、酒の消費に拍車を掛けています。

 各地区では、通常の役員会の他に御柱準備の会合が頻繁に開かれ、団結会や打ち上げの度に酒が振る舞われます。祭りが始まれば、曳行道路沿いの商店は無料の樽酒を振る舞い、事業所やJA(農協)などの出張休憩所でも酒・つまみ類が椀飯(大盤)振る舞いです。
 不思議といえば不思議、当然といえば当然ですが、清酒に比べ割高となるビールの無料提供は希(まれ)でした。ガソリンスタンド前で缶ビールを抱えた店主に勧められ、「今度ガソリン入れるからね」と言ってはみましたが…。
 何れにしても、酒店にとっては笑いが止まらず、タダ酒と祭りが好きな人には極楽のような3日間であったことは間違いないようです。もちろん、顔で笑って心で泣き通した人もいると思いますが、これも「御柱」です。

 今回初登場したのが「プリクラ」。7年前にはその存在そのものが考えられず、また、そのようなものが商売になることに思いが及びませんでした。平成10年の今は、屋台の横に違和感もなく設置されていました。これもにぎわっていましたが、御柱限定という周囲に祭りの枠飾りが入ったシールの価格は、未調査です。

 代わった平成16年は、新聞の折り込みに、(自分は持っていないのでケータイと書くのに抵抗がある)携帯のチラシが目につきます。それも各社ありますから、諏訪の平ではかなりの(ゴミの)量と思われます。6年前はあくまで携帯電話でしたが、カメラ付きとなってからはどこでも対象物に“手をかざす”シーンが見られました。それを異様に思うのは、持っていない者のヒガミでしょうか。プリクラはその存在を消しました。

 毎回地元ケーブルTVが売り出す「御柱記念」ビデオ。VHSは相変わらずですが、今回はDVDが登場しました。予約特別価格で5300円というものですが、これも時代を感じさせます。
 『御柱を撮る』と地元のカメラ店が始めた写真のネット販売。「探せばあなたの写真がキッとあります」と、ホームページ上に約6万枚(!?)というサンプルが掲載してありました。店頭や宅配で受け取ることができるとある「新商法」の収支は、一体どんなものだったのか気になります。

 平成22年は、全くの私事ですが、御柱祭をハイビジョンで見ようとテレビを買い換えました。画質の良さに、歳と共になった出不精が重なり、自宅に引きこもっての「テレビ御柱祭」の年となりました。そのため、巷の御柱商戦事情は目に触れず仕舞いでした。
 テレビは生活の必需品なので、買い換えは景気の動向には左右されないでしょう。それが、来年でアナログ放送が終了・エコポイント・御柱(LCVのハイビジョン+多チャンネル放送)が契機で、諏訪では一気にテレビの更新が進んだと思われます。
 次回の御柱祭に「このサイトが存在している」保証はありません。果たして、立体テレビの前で「木落しの迫力に腰を抜かしている」様子を紹介できるでしょうか。