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貝足神と具足神  22.12.25

 最近、岡谷市の神社を続けて紹介していることもあって、下浜御社宮司神社の江戸時代の呼称「三狐神」が『祝詞段』ではどのように書かれているのか調べてみました。

 湯神楽では、多くの神々を(多分早口で)次々に呼び出します。それを文字に直(記録)したものが『祝詞段』ですから、句読点はありません。そのため、地元の神社通でない限り「何が何やら」ということになります。
大和ニハ佐久新海高木八王神トンヘニ鎮守武居鎮守山田八王ジ牛頭天王(以上下諏訪町)岡野屋十五社小口水神上八幡下八幡天王若宮小波木明神濱南宮ナラセ津貝(ク)足御神神々ニチヨノ御神楽マイラセル
 マイラセルコシミセシヤ(ヤ)ウノミトナレヨ

 この“ブロック”は諏訪市から岡谷市にかけての神社が順に書かれていますから、「佐久新海(先宮神社)」から「濱南宮」までは対応する神社を挙げることができます。しかし、“順番”では下浜御社宮司神社に当たるのが「ナラセ津貝足」ですが、…どうしても結びつきません。
 次に、『祝詞段』と同様な『根本記』から、岡谷市分だけを句読点を付けて書き写しました。

岡野屋十五社・小口水神・上八幡・下八幡・天之(天王)・若宮・コハキノ明神・海(ハマ)ニ南宮・シユウラセツノクソクノ御神マテ(まで)神々ノコシミストキワ
 イクラヨンバミサキソヨメク

 こちらは「シユウラセツノクソク」となり、ますます意味不明となりました。もしかしたら、記録した本人も当てはめるべき神社・神号がわからなかったのかもしれません。
 後日、岡谷市『復刻平野村誌』で同じ内容を取り上げているのを見つけました。

 この中(の)岡野屋十五社が現在の岡谷十五社であることは明白であるが、小口水神というは大清水権現かと思うも明証なく、上八幡下八幡の二社は長地村東堀の柴宮と本村西堀の八幡を擬して誤がないであろう。天王は小尾口の村社津島神社・岡谷天王森の無各社津島社の両社か或いはその何れかの一社を指すものなるべく、若宮は一寸わからないが小波木(小萩)は長地村西山田に現存している。次に濱南宮は上下濱の村社御社宮司神社をあてる説もあるが、明治四十二年西堀の村社八幡社境内へ移転した元横河川河口に鎮座の南宮社ではなかろうかと思われる。(後略)

 若宮は「“残った神社”と建御名方命の御子(若宮)から出早雄神社」として、残念ながら、地元の公的歴史書でも「カタカナ交じりの神」を取り上げるのは避けていました。

「ナラセ…・シュウ…」

 この「二つ」は他の「段」には見られませんから、この土地(現岡谷市)固有の神と思われます。『祝詞段』と『根本記』を突き合わせると、誤字・当て字・脱字などから“正解”が導き出せることがあるので「意味不明の言葉」を並べてみました。

ナラセ  津 貝足  御神
シユウラセツノクソクノ御神

 「ナラ・シュウ」の読みで「習」を当てはめ、「貝」に「く」と振り仮名があるので「具」としました。「習らせ津、具足神」となったので、「具足神のお導き」を期待してネットで検索してみました。ところが、と言うか「やはり」と言うか、様々な組み合わせのキーワードを打ち込みますが空振りの連続です。ようやく「具足神社」そのものがヒットしましたが、「ネット地図のその住所」に神社の表示はありませんでした。
 次は「足神社」で検索すると、生島足島神社や鎌足神社は別として、菟足神社・稲足神社・面足神社・豊足神社・福足神社・鶏足神社などが表示します。そのため、貝に足があるのかは別として、まだ「貝足や具足」神社がある可能性は十分にあります。

 一方の「習らせ津」ですが、「津は港の意」があると言っても、諏訪湖では村落単位の極小漁港しか思いつきません。こうなると鎧の具足を祀る神など聞いたことがありませんから、「足─足りる」の線でしょうか。ここで完全に行き詰まり、諏訪湖畔に貝の豊漁を祈る「貝(が)足(りる)神社」があったとしました。この『嘉禎の旧記』以外にその「一字一句」が見られないのは、「下浜村の堀割開削で消滅した」と一応“裏”を付けました。
 まとめてみれば、実りがないトボケけたような結論を、それも強制的にひねり出したという充足感が全くない「貝足神と具足神」になりました。

十羅刹の具足

 小口伊乙著『土俗より見た信濃小社考』に“漢字”を見つけました。

また、嘉禎年中十二月の奥書がある『根元記』には、…浜に南宮、シュウラセツノクソク(十羅刹の具足)の御神まで神々のコシミストキワ(越し御臨時は?)と記してある。

 これに飛びついたのですが、十羅刹は仏法の用語なので、「諸神」とは結びつきませんでした。

津久姫社

 小坂区史編纂委員会編『小坂区史』で、「津久姫社」を見つけました。(岡谷市)小坂鎮守神社の〔明治十五年の神社明細帳〕に、境内神社四社の一つとして挙げています。

津久姫社
 祭神 下照姫命
 由緒不明 建物間口一尺奥行九寸

 この「津久」がキーワードになりそうですが、(今の所)何としても繋がりません。