山梨県に、「ミニ」という言葉が適切なのかは別として、かなり小さめの鳥居があります。それもズングリムックリという形ですから、その存在を知れば自分の目で確かめたい気持ちに駆られます。
そのミニ鳥居の分布状況は不明ですが、最近、北杜市で、続けて二例を目にしました。
上写真は神社庁のリストに載らない小さな神社ですが、かなり特徴ある形状なので紹介することにしました。
Googleマップに「春日神社」があります。そこにミニ鳥居があるのを知ったので、倭文神社参拝の帰りに寄ってみました。
この前に立つまで、見渡す限りの世界に自分が一人という状況とあって、選挙カーに二度“絡まれて”しまいました。地元民を装って手を振ればいいものを、(頑なに)そっぽを向いてやり過ごそうとしたので、減速した車列に「お願いします」の集中砲火を浴びてしまいました。
道路沿いは普通の鳥居ですが、日陰で暗い参道に踏み入ると…。□内がその鳥居でした。
実測といっても一人で測るには余りある大きさです。そのため「高さ160cm/横140cm」と、凡そを記録しました。
藁座(わらざ)の整形が大まかなので、その部分は土中に埋める仕様と見ました。しかし、そうなると、かなりの扁平となります。いずれにしても、韮崎市の武田八幡宮に代表される「笠木が細目で柱が太い」鳥居に似て、かなりの古物という印象を受けます。
本殿の彫刻がかなり凝っていますから、造営時にはかなり目を引いた社殿と思われます。しかし、屋根だけの覆屋とあって各所に傷みが見られました。
左の石塔状の碑に「春日大明神」とあり、裏面に由緒と思われる文字が多数彫られています。「自宅でゆっくり読もう」とカメラに収めました。
当てにしていた漢字の羅列は飛び飛びの一文字なら読めますが、文字列としては「天保四年」だけが確認できました。
富士見町図書館に『高根町誌』があるのを知っていたので、神社の由緒があればとページをめくれば、…こんなものが。
由緒 正式名称は御崎稲荷神社で細田氏の祝神である。石華表高さ五尺、横四尺六寸があり、この下を三回りすれば瘧(おこり)が癒るという。
蔵原には、諏訪神社の他にめぼしい神社はありません。鳥居の大きさが記録と一致したので、googleマップに表示する「春日神社」は「御崎稲荷神社」と確定しました。投稿者は、本殿の左に並ぶ「春日大明神」を見て春日神社と勘違いしたのでしょう。誤りを正したので、お稲荷さんから何か御利益をもらえそうと期待しているのですが…。
『高根町誌』の記述が古くさいので『甲斐国志』を参照すると、
一、諏訪明神 藏原村 黒印神領貳石七斗 (中略)
○御崎明神 仝村 下組にあり、石の華表高さ五尺横四尺六寸甚だ古様なり、瘧を患る者此下を三回すれば愈ざる(者)なし、細田氏の鎮守なりと云、神人文藏、
とあり、これを転載したことがわかりました。