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御座石神社「諏訪七石・御座石」 茅野市本町 16.10.10

御座石か御沓石か 諏訪大社の摂社と言うより、「どぶろく祭り」で有名なのが御座石神社です。正しくは「ごさんしょ」と読む(言う)そうですが、それを口にすれば、お年寄り以外は首を傾げるかもしれません。
 その参道は国道側ではなく、境内を挟んだ県道側にありました。鳥居をくぐる前にまず目に留まったのが、注連縄で囲われた「御沓(おくつ)石」です。ところが、どう目を凝(こ)らしても瞬(まばた)きしても、「沓(靴)」の痕跡は見つかりませんでした。

御座石神社 「祭神が女神の場合は御柱を建てない」という“約束事”があるそうです。御座石神社の祭神は、建御名方命の母神である「高志沼河姫命(こしぬなかわひめのみこと)」と言われていますから、そのルールに則ったのかはわかりませんが、この神社のどこを探しても御柱はありません。代わりに、御柱年である今年建て替えられた木の鳥居がありました。
 境内は、社殿がポツンと見えるほど広々としています。そのため、“一般”にも広く開放しているのだろうかと思ってしまう、神社に相応しくない馬頭観音が林立している一画があります。道路の拡幅や宅地の造成などで住み処を追われた観音様を、御座石神社(の氏子)が一手に引き受けたのでしょう。

御座石神社「御座石」 拝殿の左前にあるのが、「母神である高志沼河姫命が乗って来られた鹿の足跡が残る」とある石です。鹿の蹄(ひづめ)の裏など見たことありませんが、そう説明されると「なるほど」と納得してしまう形の穴があります。しかし、その「足跡」から想像する鹿の大きさは…。
 後半に「この石に腰を掛け休息した」と続く案内板には設置(責任)者名がなく、「○○石」と具体的な名前も書いてありません。意図的にボカしたとも思われますが、「腰掛けた」から、多くの人がこの石を「御座石」とうなずいて帰るのではないでしょうか。

「御座石」と御座石神社

御座石神社本殿
御座石神社本殿 20.4.27

 一般的には、神社名からでしょうか、「諏訪七石」の一つ「御座石」がここにあるとされています。私もそのつもりで来ました。
 ところが、神社入口にある茅野市教育委員会の案内板によると、「はじめ『御座所宮』『御さい(さい)所宮』等と呼ばれていたが、いつしか『御座石神社』に変わったと伝えられる」とあり、神社名と「御座石」の繋がり及びその存在を述べていません。
 その後に続く「社前の石におり立ち、旅の履(くつ)をはきかえられたと伝えられ、今に拝殿前の石に足跡と、神殿入口に御履石(おくついし)という石が残っている」ですが、何か釈然としません。現状を見る限り、「拝殿前の石に鹿の足跡と、神社入口に御履石」としたほうがスッキリすると思いますが…。それはともかく、茅野市教委の「御座石の存在を謳(うた)っていない立場」には賛同できました。

「水中にある御座石」 21.10.1

 御座石神社がある「鬼場」は「茅野市本町東」と変わりましたが、今でも橋に「鬼場」の名前が残っています。勝田正履著『洲羽事跡考』に、その〔鬼場の庄の事〕がありました。

 鬼場の庄という所は四月廿七日此地の社御座石明神例祭あり。其の祭りを司る村民を鹿主という。鹿肉を供し濁醪(どぶろく)をかもしてその麹(こうじ)にて独活(うど)を和えて供えるなりと鍬にてませると(※意味不明)云う。今水中にある御坐石という石に大人の跡五つあしあと(※足跡五つ)あり神の足あと也という。又履石は今社の前にあり。御坐石は社へ這入る處にありとも云。重ねて尋ねみるへしこの神事には大祝は社壇に登り神楽坐は艸(草)をしきて座すると云。昔はおうばといいしを訛りて鬼場と書きしと阿部栗林いう。案ずるに神供を調理するなれば亨にんの義にとりて饗庭と書くべし。おうにばにてあるべし。
諏訪教育会『復刻諏訪史料叢書』から抜粋

 江戸時代後期の書物なので、図書館の書架に並ぶ本になるまでに改変(誤植)されたと思われる箇所があります。
 これを読んで、今は、十日前とも一ヶ月前とも定かでなくなった「新聞記事」を思い出しました。見出しも覚えていませんが「御座石神社前の河原で、恵比寿(か布袋)様の顔にも見える石が見つかった」というものです。「大勢に見てもらえるように重機で移動した」とありましたから、もしかして「水中にある御坐石」ではないかと、その人面石を見に行きました。

水中の御座石 御座石神社前の河川敷に大きな柳の木があります。その周りを大石で囲ってありますから、休憩所として整備したのでしょう。その傍らに新聞に載った石が据えてありました。
 発見者は「人面」と見ましたが、私は「足跡(凹み)の数」です。数えると、“幸いにも(何とか)”『洲羽事跡考』の「五つ」と一致しました。そうは言っても「水中にある御座石」と同じものかはわかりません。しかし、矢印の凹みが「足跡」にそっくりです。
御沓跡? 私が唱えても“実害”を受ける人はいそうにありませんから、これが「水中の御坐石」と断定して、このページに加筆しました。
 現物を見ると、「御座石」より「御履石」または「神の足跡石」とした方がよさそうです。それにしても、この石が『洲羽事跡考』で言う御坐石とすれば、140年以上も流されずによく残っていたものです。


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