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溝上社 15.5.17

溝上社と藤 文字通りの上品な藤色に染まった花は、甘い香りと共に5月を象徴します。
 花からお浸しで食べたくなるような柔らかな若葉へ、さらに去年の枝へと、下から上、上から下へと目を転じると、妖気漂うとぐろを巻く幹が現れます。そのまま舞妓さんの髪にも飾りたい紫のカンザシは、あれは何処かよその木だよ、と無関係を装っているようにも見えます。
 その藤を通して見えるのが、前宮の入口にひっそりと鎮座するシルエットになった「溝上社(みぞがみしゃ)」です。しかし、この時期を過ぎると車利用の参詣者の目に焦点は結ばれず全く無視されます。

溝上社と禊池(みそぎいけ)

溝上池 現在、溝上社の祠は突き出た岬状の上に座っていますが、太古はこの前に諏訪湖が広がっていたと言われます。その名残(なごり)が、県道に挟まれた一見湿地状の小さな池だそうです。沼のように見えますが、水眼川の一部が流れ込んでいるので意外と水質はよさそうです。
 祭神を高志沼河比売とする溝上社は、かつては重要な祭場でした。しかし、今では安国寺史友会の案内板に当時の様子を偲ぶだけとなりました。それによると、前宮から出立する各種の神事はまずこの社へ参拝することから始まったとあります。「水眼の清流をたたえたみそぎ池」も過去形で、前述の描写となっています。

 溝上社には御柱が建っていません。この疑問も人に訊くこともなく過ごして来ましたが、その後、「女神には古くより御柱を建てない」の記述を読み納得しました。

溝上社祭 18.8.26

溝上社祭
宮司がセリの幣帛を捧げる

 御射山祭には、御霊代を奉載した神輿が前宮に立ち寄り十間廊に安置されます。この間に前宮月次祭を行い、次いで溝上社祭が執り行われます。
 かつては、前述の池から採取した「芹(セリ)」を玉串(幣帛)とする、とあります。平成18年、初めてこの神事を見学することができました。まさにその通りで、宮司を始め大総代まで芹を奉奠しました。

溝上社祭の幣帛 左写真が、神事終了後に撮った芹の玉串です。遠目では一本だけと見えましたが、数本を束ねてありました。
 御射山祭ではススキ・御座石神社の例祭はカエデ・下社の遷座祭では楊柳など、季節に応じた、または神社の脇にあるものを玉串とする諏訪大社の“姿勢”が気に入っています。他の神社ではどうしているのでしょうか。