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春宮幣拝殿の神紋「梶」 15.9.15

幣拝殿の神紋「梶」 写真は、安永八年(1779)に完成したと伝えられる春宮幣拝殿の上層部です。唐破風(からはふ)にある神紋に注目して下さい。屋根の鬼板は「4根」で、破風板は「5根」になっています。
 公には、諏訪大社の神紋は、上社では4根の諏訪梶・下社は5根の「明神梶」とされています。ところが、下社春宮の中枢とも言える社殿に異なった神紋が付けられているのは一体どういうことなのでしょう。

神紋「諏訪梶」 上写真にある神紋を部分アップにしてみました。左の「諏訪梶」は銅板を打ち出したもので、釘で留められています。
 右の破風中央にある「明神梶」は多分木製で、これも飾り金具の上に釘で留められています。
 かつては勢力を競って諏訪神社上社に敵対した歴史を持つ下社ですが、その重要文化財の社殿に上社の神紋が堂々と付けられているのに当惑するのは、私の視野が狭いからなのでしょうか。同系列に置くのも何ですが、車に例えれば、ボンネットマスコットがベンツでグリルエンブレムがロールスロイスのようなものです。

 その他、幣拝殿前の神楽殿も破風が5根で大棟が4根という混在ぶりです。さらに、境外の手水鉢も4根梶で、諏訪大社で最古という下馬橋も4根梶です。そこで、このサイト“独自の視点”で考察してみました。
 まず、屋根にあるから「上」社4根梶、それより低い位置にあるのが「下」社の5根梶と考えてみました。しかし、幕府寺社奉行の監察もあり氏子の目も光っていますから、棟梁の遊び心が発揮できるような代物ではありません。
 やはり一番妥当な線は、社殿造営の大スポンサーである高島藩主が、資金提供の見返りとして諏訪家の家紋を付けさせたということです。その家紋が上社の神紋と同じだったことで、後世の人々が“上社の紋”として見てしまうということでしょう。

春宮幣殿の神紋 春宮の幣拝殿と片拝殿は、平成21年の暮れに改修工事が完了しました。屋根は創建当時の檜皮葺に変更され、鬼板や飾り金具も一新されました。
 写真は幣殿の切妻ですが、大棟の鬼板は「諏訪梶」で、懸魚(けぎょ)の飾り金具は「明神梶」のままでした。「この際、一気に明神梶に統一するのでは」と思っていましたが、“忠実に再現するのが重要文化財”というより、前述の通り、これが本来の姿ということでしょう。

幣拝殿の神紋 これは、幣殿の大棟と唐破風の神紋です。トップの写真と対応しますが、破風板の神紋「明神梶」は撮るのを忘れました…。