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御作田の早稲(下社七不思議と熟稲の奉納) '06.7.30

 「諏訪神社下社七不思議」の一つが「御作田の早稲」で、御作田社の斉田に植えた稲は一ヶ月で実(熟)ると伝えられています。その故事に倣って、現在は8月1日に行われる遷座祭に“熟稲として”奉納されます。

熟稲の脇で…

 下社の神事は、資料が極めて少ないのでその詳細はわかっていません。上社の古例では「6月の晦日に植えた稲は、一ヶ月後に当たる御射山祭が終わった翌日の憑(たのみ・たのめ)の神事に供えられる。8月15日には大祝と神使が初めて新米を食す神事がある」ので、下社でも同様な事が行われていたとされています。
 現在は太陽暦を使っているので古来の神事とは季節が合わなくなっていますが、旧暦なら、写真の“緑稲”の一ヶ月後が予想できるので熟稻も(七)不思議ではなくなります。

熟稻の奉納

 お舟祭り(遷座祭)を三日後に控えた秋宮の境内を幣拝殿に向かうと、その前に軽トラが駐まっていました。稲の鉢を積んでいるのを見てピンときました。「御作田の早稲」に因んだ熟稲の奉納です。三人のテレビクルーが撮影準備をしています。カメラに社名がないので、このシーンの撮影を委託された業者でしょうか。

御作田の早稲(熟稲の奉納) 神職のお祓いを受けた鉢が片拝殿前に奉納されました。アシスタントが、簡易レフ板で「少しでも鮮やかさを」と苦労しています。稲のアップ撮影にかなりの時間を割いているのを見て、ニュース映像ではないことに気が付きました。

 「熟稲奉納者拝礼」のシーンを撮り終えると、クルーの一人が待ちかねたように聞き取りを始めました。「(この映像は)いつ流れる」の問いに、「東京で行われる(忘れてしまった)○○シンポジウムで映す」と答えています。本人は今夜のテレビニュースで流されると期待していたようで、落胆というか戸惑いの表情が見られました。私も幾つか確かめたいことがあったの、頃合いを見計らって近づきました。

金幣と熟稲 品種の「キラリン」に、何かの間違いでは、と聞き直してしまいました。同じ答えに、どんな(漢)字だと再び問うと、カタカナだとはっきり言います。最近は「キララ」などのシャレた名前もありますが、最後に「ン」がつくとアニメのキャラクターのようになってしまいます。何となく吹っ切れないものを感じながらメモしました。
 次に、稲の根元が苔で盛り上がっているのを見て、「鉢で育てたのか」と訊くと、「田んぼで作って鉢に移した」と返ってきました。「本来(例年)なら花が咲いている。2mもある根を切ったので弱っているようだ」と心配顔です。日照不足と諏訪を襲った「平成8年7月豪雨」で今年は成長が遅いようです。

御作田社の遅稲

御作田の早稲 一方、こちらは“遅いね(遅稲)”となる、御作田社の稲を同日に撮ったものです。旧暦の神事をそのまま太陽暦に置き換えた6月30日に植えた稲ですから、当然といえば当然でしょう。その周囲には、大雨の名残が水たまりとして残っていました。


キラリン

 「キラリンは思い違い」とネットで検索してみました。単独のキーワードでは、アニメキャラクターとそれにあやかったペンネームが、異次元のHPやブログとなって何ページにも渡ってひしめいています。原点に戻って、素直に「稲 きらりん キラリン」と打ち込むと、トップに求めているものが表示しました。思わず「おー」と、感嘆符を吐いてしまいました。
 「農林水産省告示第975号」に、品種登録出願の番号が10699号で年月日が平成10年3月27日とあります。「きらりん(キラリン)」は長野県長野市の農家が登録し、長野県だけで作付けしているそうです。1000m以上の高地に適し食味良、ともあります。正(まさ)しく「キラリン」は存在していました。稲の品種は350を超えるそうですから、その命名に悩む姿が想像できます。

 この時の副産物(検索)で、「きらりん☆レボリューション」を初めて知りました。品種登録者はこのアニメの熱烈なファンだったのでしょうか…。下段のリンクに「テレビ東京・あにてれ」を設定しましたが、新着情報が[2009.01.28]で止まっているのですでに削除されているかもしれません。