本や資料を読んで、同日に行われる「田遊神事」と「蟇目鳴弦」は別物であることがわかりました。それまでは、その関連性に疑問を持っていましたが、続けて行われるので一体となった神事と思っていました。蟇目鳴弦は悪霊退散の「蟇目・鳴弦」ですから、「新年祈請祭」の中で行われるのは当然でした。
「鳴弦」とは文字通りの弓の弦を鳴らすことです。ゴザの四隅で弓を射る所作を行って弦を鳴らし、悪霊を退散させます。
本に、「蟇目祈祷と鳴弦法は、神長官守矢家の一子口伝で代々伝えられたが、今は廃絶してしまった」とあります。現在は、諏訪大社と神長官家は全く関係ありませんから、諏訪大社流の蟇目・鳴弦でしょう。
「蟇目」とは音を発する鏑矢(かぶらや)のことで、空いている穴がガマガエル(蟇)の目に似ていることから名付けられたそうです。しかし、直近で見たことがないので、「そうですか」としか言えません。
祭員が赤い鏑矢を放ちます。この矢を拾った人は幸運が授かると言われ、「記念品が授与される」というアナウンスがありました。
初射で見事に、と言っても、実はカメラのファインダーから射る瞬間を狙っていたので見たわけではありません。拝所越しの境内からの歓声から、誰かが今年の、お金では買えない(幸運はともかく)破魔矢を得たことは間違いありません。もう一本は、障害物などで届かなかった予備の矢らしく使われませんでした。
新年祈請祭 一週間後にたまたま顔を合わせた地元の諏訪大社大総代の話から、冒頭の集団は新年祈請祭に参加した人々と知りました。申し込めば、誰でも参列できるとのことでした。