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小神立座神事 11月28日

 平成21年も「小神立座(こみたてまし)神事」を見学できませんでした。「献饌・祝詞奏上・玉串奉奠」の“いつもの神事”と思われますが、現在でも、簡略されたとはいえこの神事が行われていることに意義があります。
 「小神立座」は、春の「小立座(こたてまし)」と、現在では御頭祭(酉の祭)として知られている「大御立座(おおみたてまし)」に対応する神事です。『諏方大明神画詞』の時代では、6人の神使が二人で組になって、担当する地区を巡回する「冬の廻湛」です。具体的な神事の内容はわかっていませんが、「春に配った“神符”を回収する」または「春に各地で降ろしたミシャグジを上げる」と解説した本があります。
 諏訪教育会『復刻諏訪史料叢書』から転載しました。

十一月廿八日 なん(終)、神使御立御(おたちまし)、皆神殿起(たち)、三匝(さんぞう※3回り)の巡礼如昔(昔の如し)、山路の寒風はけしくして素雪(そせつ※白雪)みちて、赤袍(せきほう)(※神使が着る赤い着物)、其興なきにあらす、
『諏方大明神画詞』「77」
原典は「ナン」ですが、「何」のことなのか全くわかりません。長野日報社『諏方大明神画詞』の解説は「49日の精進」です。『諏訪史 第二巻』では、「七々」が「ナン」「難」と転じ、「七の倍数の21日から28日に挟まる一週間の精進潔斎」とありました。

 旧暦の11月は現在の12月です。1月にも届こうかという厳寒の中で、馬上とはいえ精進潔斎の弱った体で一組の神使は峠越えです。年によっては雪の降りしきる中で有賀峠を越えたのでしょう。『諏方大明神画詞』では、これを「赤に白」の凄絶な色のコントラストで語っています。「興(趣)がある」を「興がないの否定」で表現していますから、作者もその巡回に非情とも言える厳しさを見たのでしょう。

 宮坂光昭解説・折井宏光絵の現代版『諏方大明神画詞』があります。新聞に一部連載された「峠越え」の絵を見たばかりに、5000円ながらその本を買ってしまいました。今は失われた絵の代わりに、折井画伯が描いた「雪を被った赤い袍を来た神使」と宮坂さんの名解説を読んで、コタツに当たりながらその当時をさまよってみました。