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御室・鶏冠・政所(所末戸)・子安社祭 12月22日

 昨夜から「(今日の)夕方から雨か雪」と予報していましたが、平成19年の当日は、9時半現在で、すでに白いものが舞っています。経験から、神事開始は10時とみて前宮へ向かいました。

 今日は、御室社・鶏冠社・政所社・子安社と、一気に四社の例祭日です。車載の温度計では2度の社務所前には、すでに宮司と若い神職二人が控えていました。

 『諏方大明神画詞』から抜粋しました。

 十二月廿二日、一ノ御祭、大祝以下の神官、所末戸社にもう(詣)ず、行列例の如し、饗膳の儀又常の如し、同日御室入、大穴を掘って其の内に柱を立て、棟を高め萱を葺きて軒のたる(垂)木出しささえたり、(後略)
諏訪教育会『復刻諏訪史料叢書第一巻』

御室社祭

御室社祭 10時少し前に、杓を右手にした神職の後に付いて御室社に向かうと、神饌はすでに案の上に置かれていました。その神事は実質5分という、修祓・献饌・祝詞奏上・玉串奉奠というシンプルなものでした。
 神事を見守るのは、地元ケーブルテレビ「LCV」の二人と「諏訪大社」の腕章を付けたカメラマンが一人、そしてネコが一匹です。神職を含む、白とダーク系が占める後ろ姿に、寒々しさが一層加わります。振り返って気が付いた、散歩でしょうか、犬と処理用のチリ取りを持った親子のカラフルさに何か救われる思いがしました。

鶏冠社祭

鶏冠社祭 鶏冠社へ向かう道は、うっすらですが白くなっていました。神職が社殿横の民家に向かいます。犬が吠えていたので、なんとかならないか、とお願いに伺ったと思っていましたが、帰りには祝儀袋を手にしていました。毎年のことなので、この家にとっても年中神(行)事なのでしょう。

政所社祭

政所社祭 続いて政所社へ向かいます。LCVのクルーと私は先回りして、祠横でスタンバイです。山の斜面上にあるので足場がよくありません。立木が邪魔ですが、これはやむを得ないでしょう。
 一旦道まで降りて、下からも一枚、とファインダーを覗きました。このとき、ピントの合致に違和感を感じたので、もしやとレバーを確認すると、時々やってしまう(前回撮ったままの)マクロになっていました。

子安社祭

子安社祭 前述の三社は諏訪大社の重要摂末社「三十九所」に名を連ね、諏訪大社上社固有の神社です。ところが、子安社は所政社と道を挟む場所にありますが、“全国展開”している神社です。
 諏訪明神との関わりもかなり薄いと思われますが、なにしろ「安産」という一般人のニーズに即応しています。そのため、御室社・鶏冠社・所政社の社殿が小さな石祠であるのに対して、子安社には鳥居と神灯がありそれなりの立派な社殿が鎮座しています。
 10時45分には全ての神事が終了しました。何れも明治以降の簡略された新しい神事の形式です。しかし、諏訪大社最高職の宮司が今でも直々に参向することが、かつての名残を今に留めています。

「御室入」 かつての今日は、冒頭の『諏方大明神画詞』にあるように「一ノ御祭」でした。中世の頃は、この辺りは“大騒ぎ”であったと思われますが、今は、小雪の舞う中、神職が粛々と神事をこなしていました。