御社宮司昇祭(みしゃぐうじあげさい)は、輪番で替わる御頭郷の神事です。そのため、各郷の都合で「9月から10月頃」と実施日が定まっていません。今年も見逃したか、と諦めていた今朝の新聞に、「午後3時・御射山神戸公民館」とあるのを見つけました。
今年(平成25年)の御頭郷は、富士見町の落合・富士見と茅野市の金沢です。茅野市の行事欄には載っていませんから、富士見町と合同で行うのでしょう。公民館の場所は熟知しているので、降りしきる雨をものともせずに駆けつけました。
神事前の会場です。左右にササが設(しつら)えられ、それを結んで長い注連縄が張られています。祭壇の中央にあるのが、春先の御社宮司降祭(みしゃぐうじおろしさい)で“ミシャグジが憑いた(降りた)”幣帛です。右に諏訪大社の宮司、左側奥(前後)の二人が御頭郷にある神社の宮司で、以下諏訪大社の神職が着座しています。
(公務の都合か)町長が遅刻したので、定刻よりやや遅れて始まりました。ここで補足しておきます。御社宮司昇祭は御頭郷の神事なので、諏訪大社の神職の他に、御頭郷にある神社の宮司が参列します。紛らわしいので、「諏訪大社の宮司・御頭郷の宮司」と表記しました。
諏訪大社の神事と異なり、修祓は御頭郷の宮司が行います。献饌は諏訪大社の神職が行い、祝詞奏上も諏訪大社の宮司が務めました。
玉串の奉奠は、諏訪大社の宮司の次に御頭郷の宮司二人という順でした。以下、御頭郷の各関係者による奉奠が何回も続きます。
瓶子の蓋をするだけという略式の撤餞が済むと、宮司一拝で神事は終了しました。その後に行われるのが“神送り”で、「お頭(かしら)をお下げください」の声で全員が頭(こうべ)を垂れると、警蹕の「おー、おー」が流れます。私も頭を下げたので、宮司が何かの所作をしたのかを確認することはできませんでした。
これで御頭郷の幣帛に“滞在していた”ミシャグジが昇神し、落合・富士見・金沢の御頭郷の役は終わったことになります。最後は「おのおの退下」で、神職は別室に下がりました。実質30分弱という神事でした。
これより直会(慰労会)に入りますが、私はただの見学者なので早々に退散しました。直会の式次第に「一、万歳 金沢大総代」とあり、目に入るハッピも「富士見」だけなので、今日の神事は落合・富士見が“主催”ということになります。今年の御社宮司降祭は見学できなかったので、二つの自治体にまたがる御頭郷の場合は、神事の分担をどうするのか気になりました。