祭事表では、ただ「夕祭」とありますが、翌日が「御頭祭」なので“前夜祭”ということなのでしょうか。平成19年の当日は日曜日なので、西山の神社巡りコースの最後に加えました。
斉庭をのぞくと、幣拝殿の前にはすでに神輿が置かれています。左にはテントが張られ明日の御頭祭の準備は万全のようです。それだけを確認してから、一壇下の境内に戻りました。4月半ばの4時ですから風も冷たく感じられ、参拝者も疎らです。
社務所前で手を浄めている神職は、宮司を含めても数人でした。神職の列は、まだ日の当たっている石畳から完全に日が陰った石畳へ。さらに名残の木漏れ日がわずかに残る片拝殿に着座しました。
今日は神職のみで、諏訪大社大総代の指定席である右片拝殿は空っぽでした。雨除けのシートで覆われた神輿が、何かチグハグです。
夕祭が始まりました。今日は「東山田長持保存会雅楽部」ではなく、自前の神職3人による雅楽演奏です。笙は、御田植祭でも演奏していた巫女さんでした。
神事は、いつもの修祓から始まるコースで、「前夜祭」から受けるイメージとは違う地味なものでした。古くは十三日間に渡った「春祭り」ですが、今は御頭祭だけになってしまいました。
岩本尚賢稿『上社年内祭祀ノ大畧(略)』からの転載です。
この頃は、家々の玄関前に祭り提灯が掛かり「前夜祭」の賑わいがあったことが想像できます。現在の御頭郷総代や役員は御頭祭当日の朝に車で駆けつけますが、当時は一泊したことがわかります。十年に一回まわってくる御頭(当番)ですから、ドンチャン騒ぎをしたのかもしれません。