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社宮司神社 松本市大字大村 26.5.13

 「社宮司神社」は、長野県神社庁の表記です。

 「地域によって様々な名称があるのがミシャグジです」と書き始めましたが、すぐに、これ以上ミシャグジについて書き進めるのは“無謀”なことだと気づきました。

社宮司大明神

 松本市であっても旧市街ではないので、大字(おおあざ)が付くのでしょうか。その大字大村にある大宮神社を参拝した後、「大宮神社から南方に2〜300m行ったところ」という情報だけを頼りに、社宮司神社へ向かいました。結果としては往復半となる三筋の道を歩きましたが、大村公民館の東脇から続く水路がある道で、ブロック塀の上に小さな「社宮司神社」の案内板を見つけました。小路を入ると直ぐに鎮守の杜が見え、鳥居額に「社宮司大明神」とある神社の前に立ちました。

社宮司神社
社宮司大明神
社宮司
 雪中(せっしょう)の産土神で、元禄十一年(一六九八)改帳(神社仏閣改帳)には「田中明神」、安政二年の文書には「社宮司大明神」とある。社宮司の本社は諏訪明神上社の神主守矢家の祝殿である。
 本殿は明治三年の再建。
本郷地区景観整備委員会

 右に社務所兼と思われる「大村南公民館」を見て拝殿前へ進みます。
社宮司神社本殿 “賽銭投入口”から内部を窺いますが、格子戸にビニールが貼ってあり本殿正面の拝観ができません。本殿の周囲も三方が黄色に塗られた漆喰壁が囲み、どこに立っても本殿の上部しか見えません。塀からカメラを精一杯上に延ばして撮ったのがこの写真です。

社宮司神社「本殿」 拝殿は萱葺きですが、箱棟の大棟は瓦で葺いてあります。珍しいので注視したら、何と、両端に鯱が設置してありました。
 厚い萱を支える軒裏の造りが気になったので、改めて賽銭投入口から天井裏を確認したら、釘などは使われていないように見えました。この造りを永久に受け継いでもらいたいものだと思いますが、萱の確保やこの構造はすでに現在の技術では難しいものになっているのかもしれません。

社宮司神社 その拝殿の左右に千羽鶴が掛けられ、シャモジが一枚置かれています。「社宮司神社」と焼き印がありますから、諏訪では見られない「おしゃもじ様」でしょうか。
 「杓文字(しゃもじ)信仰に、似た名称のシャグジ(社宮司)が習合した」という説があるそうですが、諏訪一円では一切見られません。それが、松本の地で初めて見ることができましたから、一種の感動を覚えました。半ば諦めながらも、執念深く探した甲斐がありました。
 ここでは、通常の奉納品なのか、これを持ち帰り大願成就した後に新しいシャモジを奉納するシステムなのかはわかりません。自宅に帰っての話ですが、ネット画像を検索したら、例祭日の写真が見つかりました。写真の麻紐で押さえられた多くのシャモジが並んでいましたから、御札として氏子に配布した可能性もあります。
 現在は、諏訪の北に塩尻市、松本市という行政区画になっていますが、塩嶺峠(塩尻峠)を越えると「ミシャグジもオシャモジ」になってしまうということでしょう。

松宮前大明神

松宮前大明神社 自宅で、同じ大村にある大宮神社との位置関係を確認しようと『Google マップ』を開きました。ところが、…「松宮前大明神社」と表示しています。自分の目で「社宮司大明神」を見、写真にも同じ文字が写っていますから、これはどうしたものかと各社の地図を比較してみました。
 ところが、すべて「松宮前大明神社」でした。それではと、国土地理院の公式地図で確認すると、残念ながら「鳥居」の凡例だけでした。

 こうなると、このまま引き下がるわけにはいきません。ネットで検索すると、「松宮前」と「社宮司」が混在しています。次に、長野県神社庁のサイトで確認を取ると「社宮司神社」で、住所は「松本市大字大村朱引中221」です。思うに、地図で神社名を“確定”したサイトやブログが「松宮前大明神」で、神社庁の名称を参照したのが「社宮司神社」と想像できます。ネット地図の大元は「ゼンリン」ですから、調査員がメモ(殴り)書きだった「社宮司」を「松宮前」と誤読して報告したのでしょう(か)。
 次は「社宮司神社 松宮前大明神」と並記したものを検索にかけると、『PDF 松本市道路認定路線網図』が表示しました。この地図は「国際航業株式会社調製」とあるので、民間の地図をベースにしたものとわかります。

松本市道路認定路線網図 左にその一部を転載し、社宮司神社の本殿に○を加えました。現地を思い起こすと、定規の目盛状の線が田の畦であることがわかります。(この地図では)早い話が「田圃の中に、実体のない松宮前大明神がある」となります。
 これは、かつてこの場所に松宮前大明神があったということなのでしょうか。案内板には「元禄では田中神社」とあるので、現在の景観から見れば「田の中にあるから、別称が田中神社」とも言えそうですが、平成と元禄を一緒にはできません。

航空写真 松宮前大明神の痕跡が何かしら残っている可能性があるので、国土交通省『国土画像情報』で同位置の航空写真を参照しました。これに写っている「立木」を見て、「その下に祠がある」と睨みました。しかし、現地まで確認しに行く元気はありません。
 『Googleマップ』の「ストリートビュー」機能を思い出しましたが、こんな田圃の中の神社ですから期待薄です。ところが、“完璧”に表示しました。しかし、拡大してみたら、「ただの畑の隅にある木」(のよう)でした。