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当麻戸神社 山梨県韮崎市 21.5.24

當麻戸神社(当麻戸神社)

 神社に「愛称」は変ですから、やはり「別称」でしょうか。「当麻戸」神社は、ズバリ「トマト神社」としました。重なって見えませんが、提灯を吊す枠と橋の手すり・社殿の屋根がすべて赤です。午前中だったら「鮮やかなトマト」ですが、背後が七里岩なので今の時間では社殿はくすんでいます。(遅くなりましたが)「当麻戸」は「とうまと」と読みます。

「三百歩の外(そと)」とは

 境内の『社碑』には「尾鰭(おひれ)宮・當麻戸神社」とあり、以下の「御由緒」が書いてありました。次の写真まではテキストが続きますが、(自分で書いて言うのも何ですが)大変面白いので完読することをお勧めします。巨摩・高麗は「こま」、酒解は「さかとけ」と読んでください。

日本総国風土記第六三、甲斐国巨摩郡或(あるいは)高麗の中に 當麻戸神社巨摩郷の西三百歩の外社樹あり圭田四十三束、欽明天皇辛酉四月初めて祭る所、大酒解、小酒解神なり、(後略)

 「境内」で読む限りは“問題”ありませんでした。ところが、写真の文字をテキストに変換する過程で、「何かおかしい」というより意味不明であることに気が付きました。『韮崎市誌』ではどう記述しているのかと調べると、以下のようにありました。

残簡(※かなりの部分が失われて残った文書)風土記に、巨摩郡の西三百歩の外にあり、圭田十三束、欽明天皇辛酉四月初めて祭る所、大酒解・小酒解の神なり。

 「これだ!」と納得しました。しかし、もう一度読むと「西三百歩の外」もおかしな表現です。「西」ですから単位は長さになり、当時の「1歩は約6尺」で計算すると約600mです。これでは「巨摩郡の西600mの外」となり、まったくの意味不明になります。

 とりあえず「そのこと」は置いて、次は「圭田」です。知っている人には常識だと思いますが、私の持てる知識では見当もつきません。ネットで調べると、皆さんは承知しているらしく、「○○神社圭田○○束」と(見えませんが)涼しい顔で済ませています。
 そのキーワード表示が「圭」と「田」に“分裂”し始めて「これまでか」と諦めたとき、『宮城県神社庁』のサイトに「祭祀田として圭田58束を奉りて神禮を行う」とあるのを見つけました。後は“正しく改ざん”するだけです。以下に、読みやすいように( )を加えて提示しました。

『日本総国風土記・第六三巻』の〔甲斐国巨摩郡(或いは高麗郡)〕の中に、「當麻戸神社(は)巨摩郷の西(にある)。(社地)三百歩(5町歩)の外(ほか)に社樹(社有林)あり。圭田は四十三束。欽明天皇辛酉四月(の年に)、大酒解・小酒解神(を)初めて祭る所なり」とある。 

 これで、(原典が間違っていなければ)間違いないでしょう。謎解きをしても「秘宝」は見つかりませんでしたが、レリックハンターの気分を味わうことができました。

当麻戸神社本殿

當麻戸神社

 韮崎市指定文化財の本殿です。拝殿のガラス戸越しなので全体を写すことはできませんでした。中央に「建御名方命」、右に「素戔嗚尊・大己貴命」、左に「大酒解命・小酒解命」を祭ってあるそうです。
 『韮崎市誌』には、「大酒解命・小酒解命」を祭る神社は、全国でも非常に少なく」とありますが、諏訪大社上社の末社ですが、茅野市の酒室神社の祭神「酒解子神」もお忘れなく…。
御供石 社殿のあらゆる場所に、諏訪神社(諏訪大社)の分社に用いられる「立穀の葉」が見られます。ここでは、暗いので画質がよくありませんが、本殿の鬼板にある神紋を載せました。山梨は、諏訪神社でも「武田菱」が巾を利かせていますから、私には嬉しい限りでした。

御柱 当麻戸神社の本殿と一体化した社殿です。拝殿は下方にあるので、幣殿となるのでしょうか。
 この社殿を挟む格好で、韮崎の神社によく見られる“一本御柱”があります。後で知った「お腰掛」の柱と同サイズのようですが、今のところ「謎の御柱」です。

当麻戸神社の「御供石」

御供石 境内のほぼ中央に大石があります。「三百歩の外」を理解することに疲れたので、案内板をそのまま転載しました。
 「それでも」と『韮崎市誌』でチェックすると、原典『神社由緒取調書』から「烏飼神事」を紹介しています。こちらは、「御供石」が「御池御腰掛石」になっていました。

御供石(ごくういし) 高さ約3m・周囲約12m
 昔、この當麻戸神社では「烏飼(からすが)いの神事」という祭りが行われていた。毎年、一月一日に供え物をこの御供石の上に供えておくと、羽根に白い斑模様のある烏が舞い降りてきて供え物をくわえて飛び立ち、當麻戸神社の神田へ運んでいった。神田は上中下に分けてあり、烏が置いた場所によって豊年か凶年かを占い五穀豊穣を祈願した。これが「烏飼いの神事」である。広島県の宮嶋・長野県の戸隠とこの尾鰭宮當麻戸神社は「日本三か所烏飼い霊場」と称えられ崇拝されたと伝えられている。

 ここに挙げている「烏飼い霊場」ですが、ネットで検索しても(なぜか)ヒットしません。