御柱紹介 /

御柱の“刻印”「XXX」 28.3.12

 古い写真の中に、本宮一之御柱に[X]が複数彫られた写真がありました。柱が大きいだけにかなり目立ちますから、御柱のルーツを伝える“何か”とも考えてしまいます。ただし、現在の御柱には見られません。

秋一
曳きつけられた秋一 秋宮

 それを意識しながら古そうな本やグラフ誌を見ると秋宮の御柱にもあります。
 ここでは、昭和47年刊行の長野県教育委員会『諏訪信仰習俗』から二枚の「秋宮一之御柱」を転載しました。この写真では三箇所の[X]が確認できます。
 この刻みは小宮の御柱にも見られますから、何かの意図を持って付けられたのがわかります。繰り返しになりますが、最近の御柱には、それが希少価値になるほど、まったくもってありません。

 サイト『信州・山浦地方の暮らし』から、《第3部》〔おんばしら編〕の一部です。ここには、「滑り止め」と書いています。

 滑り止めに御柱の上部には、先から尻までX型の彫り込みをヨキ衆が刻んで呉れて在るが、運送車や人が六ヶ年の間踏み固めた天下の大道を抉(えぐ)り返し掘り起こして進む御柱なのだ。

 曳行中でも舵取りが必要でない場合は、御柱にテコ衆が櫛の歯の如く乗ります。何かと御柱の上に立ちたがるテコ衆ですが、(御柱は円柱とあって)雨で濡れれば滑り易くなります。それを防ぐための刻みとすれば、「なるほど」と納得できます。

Xは、滑り止め

 〔昭和二十五年二月十七日湖東村に於ける御柱祭三ヵ村協議事項に基づき本村協議事項−湖東村−〕から一部を転載しました。

十六、御柱すべり止め(十文字)は、先穴より九尺とす。
長野県教育委員会『諏訪信仰習俗』

 ここでは「十文字」ですが、まさに「滑り止め」で「先穴より九尺(約2.7m)」が冒頭の写真と一致します。そのため、下社でも同様な決まりがあったことが窺えます。

秋一
御柱固めをする氏子 秋宮

 この写真では、先端が埋められたために二箇所の刻みのみが見えます。
 改めて整理すると、Xの刻みは御柱に乗りやすくするためのものです。しかし、「先から尻まで」では満身創痍とも見えますから、先端に乗る人、つまり幣軸を捧持する人とそれをサポートする人に限定したという流れでしょう。
 それも、美観というか見苦しいと言うことで、現在は禁止となったのでしょう。

 結論として、御柱に刻まれたXXXは「かつて行われた、御柱に乗る人のスリップ防止の溝」としました。