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北杜市「山の神の石枠」 山梨県北杜市明野町小袖

お腰掛け
木枠(韮崎市)space石枠(甲斐市)

 韮崎市に、本殿の代わりに、お腰掛(おこしがけ)と称する木の枠を安置した神社が幾つかあります。その一方で、甲斐市には石製の枠を御神体とした神社があります。

 その「石製のお腰掛」を調べる中で、北杜市に、「桟(さん)の神」とある小型の石枠があるのを知りました。

御崎神社・山の神参拝 '20.10.31

 明野町図書館に寄ると、明野村誌編纂委員会編『新装 明野村誌 石造物編』に、これから行かんとする石枠の説明があります。

(はた)の神 (抜粋)
 「機の神」は織物の神様である。いつの時代から祀られたのかは不明であるが、明野村では小袖の御崎神社に一基ある。組石形式で、57cm×98cm×98cmの立派なものである。
 組石形式の神様は、明野村の場合、北組・永井・中込に「山の神」としてある。小袖の「機の神」は無銘であるが、地域の人達は昔から「機神様」といって、特に女性の信仰を集めてきた。
〔石造物に見る祈りの心〕

 前出の「桟」と、この「機」の違いはともかく、他にも三基あることに意気が揚がりました。こうなると、後は、この日に備えて登録しておいたカーナビに行く先を任せるだけです。

御崎神社のミニ鳥居
御崎神社space山ノ神

 御崎神社の前に立つと、通常の鳥居と、私のアゴの高さというミニ鳥居があります。『新装 明野村誌 石造物編』〔宗教〕では

 小鳥居は大鳥居横に並んで建てられ、参詣人の通行する位置ではない。(中略) 近くの人の話では、この小鳥居はもと山奥にあった山の神の鳥居を運んできたものだという。太さがあって高さはわずか一・五メートルくらいしかない珍しい鳥居である。(以上抜粋)
[御崎神社 旧村社]

とあるので、山の神が平地に祀られている不思議さは消えましたが、以下に出る(山の神と考えられる)石枠との関連は書いていません。

山の神「石枠」 旧村社である御崎神社の参拝もそこそこに奥へ向かうと、高原神社と異なる井桁状に組んだ石枠でした。下部が埋まっていますが、むしろ木造の「お腰掛」に近い形状です。覗き込むと、石棒状の立石が安置してありました。

山の神の石枠 隣接している石祠を「後付けの本殿」と見ましたが、四方が刳り抜いてあるので、燈籠の火袋とわかりました。石枠だけでは心許ないなので、家形の祠として転用したのでしょう。因みに、境内には同型の燈籠があります。
 この石枠は、前例では「山の神」ですが、機織台として見ることもできます。「人それぞれの信仰の形があってよい」とすることもできますが、祭神には歯がゆい祀られかたかもしれません。

 『明野村誌』を読み直すと、以下のものがありました。

山の神 (抜粋)
 とくに中込の場合は、御崎神社に移されている山の神の石組みは堂々たるもので、「天狗の腰掛け」と呼んでおり、前出の山の神は天狗だという説とも合致している。
 ただ、永井には三カ所の山の神があるが、そのうちとくに石平地内の山の神だけが石組み(枠組み)で造られていることは、石祠とどのような差があるのだろうか。祀る内容の本体の差か、年代の差か、今後の究明課題であろう。
 いずれにしても、この石組み(枠組み)は、同地区編の解説にもうかがえるように、穂坂町三つ沢の山の神や、同上今井の山の神のお腰掛けと同系統である。
〔石造物に見る祈りの心〕

 複数の引用文を総合的すると、御崎神社にある山の神と鳥居は他所から移されたものとわかりました。