諏訪大社と諏訪神社トップ / 諏訪の神社メニュー /

諏訪市天然記念物 諏訪市神宮寺 '07.3.10

 探していた古墳が見つからず、気落ちした足取りのトボトボも、急坂とあっては勢いがついてしまいます。西沢川を挟んだ右手の尾根が消滅する手前に、周囲とは馴染まない石垣が見えます。何だろう、とその上を透かすと何かの案内板が見えます。芽吹き前の季節に色が白、ということもあって偶然に近い確率で目に付いたのでしょう。
 守矢神長官家の墓石も指させる墓地横の道を選び、尾根の反対側に回ります。かつての杖突峠へ向かう道で、それに沿って一跨ぎできる沢が続いています。落ち葉下の見えない危険に大事を取って、確実と思われる石の上を選びました。

諏訪市天然記念物

 鳥居があり石祠があり大木があり、先ほど見えた案内板がありました。期待の史跡ではなく、諏訪市天然記念物の案内でした。左の高みにも鳥居と大木があり、真似したかのように祠と案内板がありました。

天狗山のイチイ

天狗山のイチイ 上写真では鳥居の背後になる「天狗山のイチイ」です。
 案内板には「推定樹齢450年・目通り幹周4.25m。このイチイは守矢氏祝神の神木である。この木の根元に二つの祠がある。一つは守矢氏祝神の祠で、一つは天狗を祀る祠である。天狗山の小字名はここからでたものという。このイチイは北・西・南に空洞が開いているが、樹勢は良く、枝分かれが多く開いた枝振りはみごとである。(中略)市内ではもっとも大きい」と解説しています。反対側に廻ると確かに洞(うろ)ができていました。その傍らに朽ちかけた木の祠がありますが、由緒は不明です。

天狗山のトチノキ

トチノキ 一方の「天狗山のトチノキ」は「推定樹齢250年目通り幹週4.25m。(前略)主幹の一部は枯損しているが樹勢はよく、トチの実をたくさんにつける。この近くには岩波マキの祝神の祠があり、このトチノキはその神木で、市内ではもっとも大きい」とあります。
 記念物指定は昭和54年ですが案内板は最近のものでしょう。その案内板は「この近く」と訴えていますが、三棟の祠は木の直下です。祠を移動したとは考えにくく、台座石の埋もれ具合から見ても当初からここに鎮座していたと思われます。担当者が現場を確認しないまま、言い伝え(申し送り)などをそのまま業者に発注したのでしょう。

「ヒノキとトチ」19.11.3 さらに、左写真の通りヒノキがトチと完全に合体しており、これが指定当時から30年を経た現在の景観となっています。これも書き加えられないまま、指定当時の状況をそのままコピーしたのでしょう。
 思いがけない場所で思いがけない天然記念物を見ることになり、「諏訪の神社」の1ページに加えることができました。小泉元首相の「ピンチになると、良い風が吹いてくる」ではありませんが、ネタに事欠くピンチに陥ると、向こうから「紹介してくれ」と寄ってくるようなことが何回かあり、何か不思議なものを感じます。それにしても、阿部前首相の場合は、私には「タイミングよく逆風が吹く」としか思えないのですが、皆さんはどう思われているのでしょうか。