かつて埴原田の千鹿頭神社を参拝した際に、ジャスコ米沢店(現ザ・ビッグ茅野店)の駐車場をお借りしました。
そのまま帰るのはもったいないと、山際にある紫雲寺(しうんじ)まで足を延ばしました。その道中でバス停の標識「埴原田」を見て、「はいばらだ」と読むことを知りました。
その地を『諏訪藩主手元絵図』の〔埴原田村〕で眺めると、紫雲寺の横に「御社宮神」が書き込まれていました。
駐車場を紫雲寺と決めていましたが、連休中ということなのか満杯です。当てが外れて山へ向かう道に乗り入れると、小公園があります。その脇に強引に寄せて降りると、そこは御社宮司社の一画でした。
前に回り込んで見上げると、鳥居に「御社宮司社」が読めます。小規模神社の多くが何も掲げていない中でこの文字ですから、地元民に確かめる手間が省けました。
標高が高い分今が満開という桜ですが、シャッターを押す時に危惧した通り、曇天とあって灰を被ったような写真になっていました。
中央の大きな石祠が御社宮司社のつもりでしたが、近づくと、白磁の狐が幾つも置かれています。
ならばと左の祠を注視すれば、破風に彫りがあり下端の「社」だけが何とか読めます。残る右に期待しますが、古そうなことがわかっても銘がなく、何の手掛かりもつかめません。
こうなると左右のどちらかが御社宮司社となりますが、母屋を稲荷神に取られたとの不遜な考えもチラッと過(よ)ぎります。
背後から、祭神が見つめているであろう埴原田の集落を撮ってみました。こちらも白っぽくなっていますが、御社宮司社の立地が十分に説明できる写真です。
鳥居前から降りる小道があります。「これが参道か」とそのまま道なりに下ると、火の見櫓が現れ「浄土宗紫雲寺」の寺号標がある辻に出ました。
用水が流れていますから『絵図』に描かれた道とわかります。少し進んでから山手を仰ぐと、御社宮司社の鳥居が見えました。
御社宮司社とわかっても、どの祠がミシャグジを祀っているのかが不明のままです。このままでは帰れないと直下の家に助けを求めますが、静まりかえったままです。道を挟んだ前の家では、当主の丁寧な応対があって期待しましたが、肝心なことはわからず終いでした。調べてくれるということなので、メールアドレスをメモして渡しました。
結局は返事がなく、中央の祠を「御社宮司社(祭神/稲荷神)」としました。