上社本宮の南鳥居の前にあった「きよめ茶屋」が取り壊され、更地になっていました。階段(きざはし)に上がると、八ヶ岳が遠望できます。「こんなチャンスは、またとない」と撮ってみましたが…。
人間の目というか脳は大したもので、視野に応じてピントと最適な明るさを調整してくれます。ところが、AUTOにプリセットされたカメラは、コントラストの違いに対応できなかったのか、日影が異様に青く沈んだ写真を提供してくれました。
これはこれで面白い写真に仕上がっていますが、3時過ぎの景観としては余りにも現実離れしています。
主題はあくまで「本宮から見た八ヶ岳」ですから、トリミングしてみました。しかし、このサイズではスカイラインがはっきりしません。画像処理で強調させると、雪化粧した山が現れました。
手前の家が邪魔になっていますが、それでも八ヶ岳が「連峰」として正面に見える場所であることがわかります。かつては大祝や五官、また参拝した人々もその季節折々の眺めを楽しんだのは間違いありません。
もう一枚撮っておいた、これも画像処理した写真です。
何のために置いたのかと不思議だった大石ですが、かつてここに存在していた「きよめ茶屋」の前にあったものと気が付きました。
何しろ、この場所は上り下りの頂点にあたる道の直角コーナーです。「店の角に大提灯を吊り下げていたが、よく車が接触した」と聞いていましたから、この石をガードストーンとして置いたのでしょう。
これが、ありし日の「きよめ茶屋」です。諏訪大社とよく馴染んでいた古き良き建物でしたが、老朽化や耐震の面で取り壊されました。
バイパスが開通すると、茅野市方面からは「諏訪大社に行く」という意志がなければ、この前を通ることはなくなりました。そのため、きよめ茶屋の代わりに、黒い異様な建物が出現したときは驚きました。
平成23年10月18日の景観です。私にはまだ異物に映る金子茶房が建てられたので、八ヶ岳を眺めることはできません。入店すれば八ヶ岳のパノラマが期待できそうですが、「庶民が来る所ではないよ」との色と意匠の威圧感が高い敷居となっています。
「諏訪大社の前に“こんな建物”があってもよいのだろうか」という議論は別として、初めてこの金子茶房を目にする人には違和感はまったくないでしょう。