案内板「御射山社」の指示で、分岐を左に折れ等高線に沿ったような林道状の道を進みます。下った先が大きなカーブで、これでは下社側に戻ってしまうとの小さな不安は、視界に入った鳥居の出現で直ちに取り消されました。
前日各地で雷雨があったとの新聞記事を思い出しました。下諏訪でも大雨が降ったらしく、まだぬかるんでいる一車線幅の道を登ります。もうすぐ昼という暑さも木々の底とあっては直接伝わらず、「何もこんな時期に来なくても…」と入口で後悔したことが嘘のようでした。
芭蕉や一茶の句碑があります。いずれも御射山社に因んだ句ですが、休みを兼ねて眺めるだけでした。
御射山祭でドジョウが放される沼沢を右に見て、さらに上に向かいます。右に新築間もない穂屋を見ながら登り詰めると、比較的新しい祠が三棟現れました。これが、江戸時代初期に霧ヶ峰から現在地の「武居入」に移された諏訪大社下社の御射山社でした。社前に立つと、アブラゼミの独唱がどこからともなく伝わってくるだけの静かな御射山がありました。
社殿右下にある「御神水」の水鉢には、先日の雨で流れ込んだのでしょう、大きなミミズが三匹沈んでいました。地形からこの上には人家がないと確信したので一口飲んでみました。その気なら、今から5分後には自販機で好みの飲料が手に入る時代です。ふやけたミミズを見たこともあって「甘露甘露」とは表現しがたいのですが、これで数日は長生きができるかな、という味と冷たさでした。