葛飾北斎の富嶽三十六景「信州 諏訪湖」では、富士山の下に高島城が描かれています。よく見ると、双方の中心軸が同じなので、富士山を下に平行移動させた場所に高島城を描いたように見えます。「これは…」と更に眺め続けましたが、眠くなっただけでした。
現在の高島城の景観は、立ち並ぶ大小様々な建物に囲まれて最上階だけが見えるという状況になっています。それでも、何かヒントになるものがあるかもしれないと、天守閣の真上が富士山という構図の実写版を、自分の目で確認しようと思い立ちました。
Googleマイマップに、富士山頂※から高島城の天守閣()を通るラインを引いてみました。
これを見ると、「富士山−高島城ライン」は、諏訪湖畔ではハーモ美術館をかすめイオン諏訪店の端を通過しています。この近辺は平地ですから、その延長先を見ると、山際に「鎮神社()」があります。また、「諏訪湖を俯瞰」という観点からは高ボッチ山が最有力ですが、双方とも葛飾北斎がそこまで足を延ばしたとは考えられません。
これからは、黄砂に“PM2.5”が加わって春霞の富士山となることが予想されます。2月の最終日になってしまった今日ですが、明日は下り坂という天気予報を聞いては重い腰を上げるしかありません。すでにネットで調べておいた情報ではハーモ美術館の近くが最適地ですが、「少しでも諏訪湖を俯瞰した場所を」ということで、イオン諏訪店の屋上を選択しました。
高島城は「諏訪湖の対岸」という距離ですが、屋上駐車場の最右端に寄って初めて「真下」という条件に合致しました。それにしても、望遠レンズ(ズーム大)の圧縮効果で、現実離れした光景になっていることに驚きました。
下部に諏訪湖をもう少し入れたいのですが、家屋や電線が映り込むので湖畔まで移動することにしました。ハーモ美術館を後ろにしてロケハンすると、ジョギング道路から湖に向かってアーチ形に突き出た広場があります。ここに決めて岸辺まで移動しました。
このところぶり返した寒さで、雪を被った氷がまだ陸地と繋がっています。「まだ離れたくない」としがみついているようにも見えますが、すでに亀裂が走り分離する日も近いでしょうか。
諏訪湖を広範囲に入れるためにワイド端で撮りましたが、肉眼では富士山が見えても高島城はどこにあるのかわかりません。比較できるように、天守閣の三角屋根が見える大きさの写真を用意しました。拡大すると確かに「信州諏訪湖」の絵と同じになりますが、この場所は諏訪湖の中心部をかなり左(東側)に外れています。北斎が実景をそのまま描いたとは思っていませんが、現地へ直接出向いてみると、様々なことがわかってきました。
富嶽三十六景「信州 諏訪湖」の“秘話” 何か新しい資料がないかと調べていたら、「葛飾北斎が諏訪に遊んだ時、豊田村小川武居見龍氏の家に仮寓し、富嶽三十六景の一枚をここで書こうと根気よく逆富士(諏訪湖に富士が逆様に写る景)を探し求めたが、遂に見つけることが出来ず…」という一文を見つけました。続きは以下のリンクで御覧ください。